張り子人形「フダス」の新入荷とセマナサンタ
- 2016.05.19
- 民芸品 フォークアート クラフト
- メキシコの民芸, ビンテージフォークアート, 利根山光人, フダス, セマナサンタ
メキシコのイースター「セマナサンタ(聖週間)」の時期に大量に作られる
張り子人形、通称「フダス」がたくさん入荷しております。
こちらは代表的な女の子(娼婦?)の人形。ルピータとも呼ばれます。
(ルピータについてはコチラのAll About Mexicoの記事を参考に。)
60年代のデザイナー&民芸品コレクター「アレキサンダー・ジラルド」さんの著書でも
紹介されている歴史あるフォークアートです。
Judas=フダスというのは新約聖書に登場する「裏切り者ユダ」のスペイン語読み。
春に行われる重要なカトリックの行事「復活祭」は、簡潔に言うと
イエスがユダの裏切りによりローマ帝国に引き渡され、十字架に磔にされ殺害されますが
その三日後に復活する光景の1週間を、振り返りお祝いする意味があります。
各地域でキリストの受難劇が再現されます。
こちらは世界的に有名な、メキシコシティのイスタパラパ区の大規模な受難劇。
「星の丘」というゴルゴダに見立てるのにバッチシな丘があります。
各地域の先住民族もセマナサンタのお祝いをするみたいですが、
ナジャリ州のコーラ族は現在でも…….
ぶっ飛んだペイントを身体に施し、ペヨーテを食べて三日三晩祭りを続けるのだとか。
閑話休題。
メキシコではイエスが復活したその日、裏切り者ユダに見立てた張り子人形「フダス」を
各家庭や街の中心で盛大に燃やす習慣があり、そのためにこの時期たくさん作られます。

前述したルピータや悪魔(ディアブロ)が代表的ですが、最近はモチーフは何でもいいみたいで
このようなどこかで見たことのある、ネズミ男のフダスも多い(笑)
張り子の人形はメキシコ各地で作られていますが、
セマナサンタのフダスに限っては、
グアナファト州のセラヤ地区で製作されたものがルーツだとか。
今回、そのセラヤでフダスを作っている職人のおばあさんの作品を、
買い付ける事ができました。
「ホアナ・アドリアナ・ラミレス」さんはセラヤで30年以上張り子のフダスを
作り続けてるそうです。
作風もかなり奇天烈!
古いものを仕入れたので、表面のダメージがありますが
かなり珍しい張り子人形。
イロイロまとめてWEBショップを見て下さいませ〜。

そして、メキシコ民芸のバイブルである利根山光人さんの著書によると、
このような奇天烈な張り子人形を作る職人さんが、1940年代にメキシコシティにいたらしく、
かのフリーダの旦那さんであるディエゴ・リベラは熱心に集めていたのだとか。

コヨアカンの「フリーダの青い家」に行くと、
確かに夫婦でかなり大きなものを収集していたよう。
利根やん(と勝手に呼びますが)の著書では他にも
セラヤと近いサンミゲル・デ・アジェンデの張り子や
こんなディアブリートの張り子も紹介しています。(1972年当時)
悪魔=ディアブロが民芸品や雑貨のモチーフになるのは、
ラテンアメリカのアニミズムと密接に結びついており、
それについては以前から自説がありますので、次回のブログで述べたいと思います。
また最近巷でブーム?らしい民芸品=フォークアートの価値についての考察も、
整理して早めにブログに認めたいと考えています。
春らしい1曲。最近またレゲエをよく聴いています。
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