サン・ヘルマン陶芸工房の歴史とスタイル (後編)
- 2021.03.19
- アルテサノス(職人と工房)
- メキシコシティ, トナラ焼き, メキシコの陶器
3/21(日)まで地階ギャラリーで開催中の「サン・ヘルマン工房の陶芸展」
工房長ハイメさんへのインタビュー記事の後編になります。
(6)シウダデラ市場とサン・ハシントに直営店がオープンしたのはいつですか?
*シウダデラ市場=メキシコシティのバルデラス駅近くにある観光用土産市場
サン・ハシント=メキシコシティの南部サン・アンヘル地区に土曜日だけ営業する商業施設

私たちは両方の店で35年以上過ごしています。
サン・ハシントの店は私たち家族が直接運営していて
平日は生産し、土曜日はサン・アンヘルに行き店で販売します。
職人が直接接客するのは土曜バザーが生まれた考え方の一つです。
また店では友人の工房で生産されているガラス製品や陶磁器、トナラで作られた工芸品なども販売しています。

(7)最も人気のあるアイテムは何ですか?
私たちは非常に多種多様な作品を作っており、私たちのクライアントも様々な好みを持っています。
時が経つにつれ困難な時期でも工房を継続することができたのは、まさにこの多様性であることに気づきました。
メキシコ全体では皿、ボウル、マグカップなどの食器が人気。
メキシコ人は伝統的なデザイン好みますが、少しずつ現代的なスタイルのものも探しています。
一方、外国人は主に伝統的なデザイン、メキシコの民間伝承を表現したカラフルな作品を探します。
食器にも描かれていますが、動物のオブジェや花瓶、口ひげを生やしたトナラらしい太陽などの他の装飾品も好まれていると思います。
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私たちを助けてくれるもう一つの要因は、工房として卸売りのクライアントだけでなく、
2つの店舗でも一般のお客さんに直接販売しているため、これまで工房を続けることができました。
(8)現在メキシコも感染防止の規制があり、観光客も少ないですが生産は止まっていますか?
私たちの工房では非常に良い時期があったとともに、
過去も特定の状況のためメキシコの観光が落ち込んだ時期(地震や豚ウイルスなど)には
何度か難しい時期もありました。
残念ながら2020年は最も困難な年でした。38年間で私たちは製造をやめた事はないですが、
今年は4か月以上お店を閉店しました。
しかし工芸品をサポートしてくれる組織があるので、継続して部分的に作業することにしました。
この数か月間、SNSのプレゼンスを向上させ販売に大いに役立ちましたが、
その販売方法を改善するにはまだまだ長い道のりがあります。
実店舗はすでに営業を再開していますが、それでも困難な時期であり観光業はほとんど機能していません。
今後も新しい販売方法を模索し、現在のお店も継続して陶磁器の伝統を守り続けていきます。
(9)他の国に輸出していますか?
直接輸出はしていませんが、カナダ、アメリカ、中国、フランス、ドイツ、日本などに
卸売りのお客様がいらっしゃいます。またメキシコ国内の他の州にも出荷しています。
(10)サン・ヘルマンの陶器は日本でどのように受け入れられると思いますか?
日本の方々が私たちのセラミックスを気に入ってくれることを願っています。
現在、SNSを利用することで日本のお客様が何人かいて、
日本でもメキシコの工芸品はとても評価されていることに気づきました。
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それは私たちの工房だけでなく、メキシコ人として国の工芸品、
私たちの色、手作りのプロセス、私たちの伝統、そしてメキシコ料理さえも
大切にされていることを誇りに思っています!
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以上、2回に渡ってサン・ヘルマン工房のヒストリーと、これからについてのインタビュー記事を掲載いたしました。
買い付けに行くことができない現在、当店もメキシコで取引先や友人に協力してもらい
定期的に商品の入荷はあります。
ただ、陶器や陶芸品はパッキングのリスクが高く難しいと考えていました…..
しかし以前から取引のあるサン・ヘルマンなら、
あれだけの数を生産しているメーカーなので、しっかり梱包してくれるかもしれない。
流通にも長けているはず、と考えハイメさんに相談。
快くパッキングのアイデアを提案してくれて、無事日本まで到着しました。

しかし今回お話を聞かせていただいて、初めて家族と職人だけのファミリービジネスだと知りました。
それはそれは凄い仕事量です。
勤勉なメキシコ人を代表するような「サン・ヘルマン・セラミクス」
来週以降は展示した入荷アイテムをwebshopにも更新いたしますので、またお知らせいたします。
今週、休日に見に行ったサン・ラの映画「スペース・イズ・ザ・プレイス」
ずっこける展開で面白かったですが、演奏シーンがかなり少なかったのがビックリ……
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