Netfrixで感じるメキシカンカルチャーの5本
Feliz año nuevo 2021
あけましておめでとうございます。
今年も実店舗、ウェブショップともによろしくお願いいたします。
コロナ渦になった昨年、世界中で”STAY HOME” “QUEDA EN CASA”となり
みなさんAmzon Prime VideoやNetfrixといった配信サービスに加入するように
なったのではないでしょうか?
どちらも米国の会社なので国内のチカーノや移民のシェアを意識してか、
多くのスペイン語圏の作品が製作発表されています。
アカデミー監督賞を獲得した映画「Roma/ローマ」や、
シーズン続編も製作された日本でも人気の「タコスのすべて」、「ナルコス・メキシコ」など
話題の作品により、メキシコの文化や歴史が多角的に知られるようになったと思います。
店主が昨年のコロナ渦やお正月休みの巣ごもりを利用して、
チェックしたメキシコにまつわる作品を、
ざざっとご紹介しようかというNEW コラム。
(1)「アンストッパブル・ガールズ」
メキシコが題材のドラマや映画は、富裕層(フレサと揶揄されている人々)の視点や生活が
とにかく多いのですが、こちらも金持ち娘達のオアハカが舞台になったロードムービー。
20代半ばの幼馴染女子たちが、金持ちならではの親や人間関係の悩みから逃れるための旅。
途中出会った4人目の女性が鍵となります。
生まれながらにして裕福な白人娘と、貧しい出のインディヘナとの対比による格差問題。
そしてSNS中毒のメキシコの若者とフェミニズム問題をヤンワリ提議しているのかもしれません。
「他になかったんかいな?」というタイトルはドラマ中のセリフから。
全10話ですがシリーズ続編があるような終わり方でした。
オアハカの街と海に行きたくなる映像です! あと音楽もなかなかよかった。
(2)「クラブ・オブ・クエルボス」
続いて同じく富裕層によるファミリー?ドラマ。
メキシコ国内にあるという、架空の街の架空のプロフットボールチームのストーリー。
カリスマオーナーの急死後、チームの運営をめぐる腹違い姉弟による愛憎劇です。
5年前から始まったみたいですが、
なんとシーズン1~4の全50話にスピンオフが2話も製作されています。
メキシコでは人気があったということなのでしょう。
(店主は現在シーズン3の途中で一時中断中)
このファミリーストーリーに内包される、「見栄・思い込み・忖度」
といったメキシコにありがちな(今は日本も?)テーマが
話のオチになっている秀逸なドラマ(長尺ですが)
またスポーツビジネスと街興しの関係性も面白いと思われます。
最初は主人公チャバにいらつきますが、だんだん憎めなくなると
あなたはメキシコ人濃度が高いかもしれません!
とにかく訳せない汚い言葉の応酬……
(3) “Im No Longer Here” 「そして俺はここにいない」
スペイン語タイトルは”Ya No Estoy Aqui”
国外では昨年5月に配信が開始された映画ですが、日本語の字幕がつき
11月にようやく視聴できるようになりました。
舞台はメキシコ第二の都市モンテレイ。
工業地帯であり、アメリカの国境も近いことから数年前はマフィアの抗争が激しかった街です。
そんな時期に現れた”Cholombianos”通称チョーロスと呼ばれる、
奇妙な髪型とチカーノギャング風ファッションにをまとった若者たち。
彼らを目にするのは市場や公園のダンス大会。
そこで流れるコロンビア発祥のクンビア音楽は、今や本国よりメキシコで欠かせない大衆音楽。
野外ダンスのためにDJ=ソニデロは欠かせない存在ですが、モンテレイではあるソニデロにより
“Cumbia Rebajada”と呼ばれる、ピッチを激落ちさせたスタイルが流行します。
彼らのダンスはパチューコの影響も感じさせます。
このノルテのある時期の不思議な現象(Cholosは現在はだいぶ減ったとか)と
米国での出稼ぎ体験をリンクさせた、実にメキシコらしい内容の青春映画。
アメリカにおける移民の言語問題も汲み取れる、興味深い最新の1本。
(4)”Gentefied” 「ヘンテファイド」
アメリカのイーストLAにあるメキシコ料理店を営むチカーノ家族のコメディ。
現在も不法滞在移民と勘違いされやすいようですが、チカーノはメキシコ系アメリカ人を指します。
元来メキシコの領土だったカリフォルニアやアリゾナ、テキサスといった州に
元々住んでいたメキシコ人や、
ゴールドラッシュ時代に人夫として米国に住み着いたメキシコ人の子孫達。
タイトルはスペイン語と英語を混ぜた「人々」という意。
おじいちゃん(ナルコスのあの役!)はスペイン語、孫達は英語で話すチャンポンな会話や
メキシコのことは何にも興味がない若者たち、
しかしラーメン店よりタコス店を守りたい街の人々などなど
皆それぞれ複雑な思いを抱えながら、生きていくイーストLA版「ドゥ・ザ・ライトシング」の様相です。
ハッピーな結末は、この先も続いていく彼らの日々の希望が描かれていて
なんとも温かみのあるドラマ。
ちなみにあまり料理にスポットは当たっていません。
このドラマを見て、アメリカでなぜタコスが美味しくないか理解できた気がします。
あとシーズン2はなさそうかな〜
(5)番外編 「モーツァルト・イン・ジャングル」
最後はオマケとして、Netfrix製作でなく2015~18年にAmzon Primeが製作したドラマシリーズ。
主な場所はニューヨークですが、ガエル・ベルナル・ガルシアが演じるメキシコ人天才指揮者が主人公。
興奮するとスペイン語でまくしたてます。
(メキシコ遠征に行く回もあり、ガエルがタコス嫌いな理由が明かされる)
オーケストラの魑魅魍魎とした男女の人間関係と、天然の主人公指揮者の感覚のズレが面白く
なによりクラシックだけでなく音楽全般が好きな方は面白いと感じていただけると思います。
有名なオーケストラの内情を暴露した実話小説らしく、
原題は「セックス,ドラッグ&クラシック」 (笑)
NYダウンタウンの空き地で行われたオーケストラのリハーサルに、
道行く人々が釘付けになり喝采するシーンは、
70年代のファニアオールスターズ映画の一場面を見ているようでした。
まだ日本国内にFireTVの端末が普及しておらず、
Netfrixも知られていなかった時期に作られたドラマなので、
話題にもならなかったみたいですが現在でもPrime Videoで視聴できます。
これもシーズン4までありますが、のんびり見ていただけると幸いです。
後半はガエル自身がプロデュースに加わり、最終シーズンは日本ロケもありますので!
今回はドラマや映画に絞りましたが、メキシコのドキュメント作品も多く発表されていますので
また機会があればご紹介したいと思います。
-
前の記事
USA買い付けジャーナル’19 【12/7 LAから終い話】 2020.12.28
-
次の記事
版画展【オアハカのグラバドーレス~La Fiesta de la vida】前編 2021.01.19
コメントを書く