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オアハカの古い陶器・ドリップウェアのご紹介 【アルファレリア・ヒメネス】

当初は4/2からセマナサンタ(復活祭)に合せ、

メキシコへ買い付けに行く予定にしていましたが、

コロナウイルスの影響で5月に延期になりました。

 

しかし世界中が先行き不透明な中、5月でも難しい可能性が高いでしょう….

 

メキシコも3月初めにはこんな冗談めかした画像がシェアされていましたが、 現在感染者は500人を超えました。(3/29現在)

 

 

そのため現在は今ある在庫の民芸品や雑貨をじっくりご紹介して販売していきたいと思います、

 

 

何年か前からお問い合わせが多くなった、オアハカの古い陶器があります。

 

メキシコシティの骨董店にて

 

現在は生産されていないメキシコ国内でも貴重なボウルやプレート。

 

昨年顧客の方に販売した緑釉の皿

 

薄く繊細な陶器に、釉薬を落として彩色された特徴的な技法のもの。

なかなか情報が少なかったのですが、古いメキシコの陶芸の資料や

米国人コレクターからお話を聞いて、判明した事を記していきます。

 

“Alfareria Jimenez”=ヒメネス陶器工房

 

このドリップペイントの陶器を生産していたオアハカのセントロにある工房の名称です。

器の底面には住所と”hecho a mano”=ハンドメイドの刻んだ記名。

 

1901年に窯が作られた歴史ある工房で、四世代に渡って生産が続けられています。

 

工房を開いた、アポリナールとナビダッド夫妻の写真

Photo from louisa reynoso”Alguina Ceramicas de Oaxaca Apuntes”(Antropologia y Tecnica de UNAM 1989)

 

 

1930年代からこのような落とした塗料から為る、偶発模様の陶器を作り始めたようで

1970年代ごろまではたくさん生産されていたそう。

それぞれの時代により少しずつ雰囲気が違います。

 

以前販売していたカップとソーサー(sold outです)

 

このような単色の筆圧で釉薬を滲ませ、柄を出す種類のものは

古い時代のものらしく、40~50年代に生産されていたものだと言われています。

 

また自然原料のエナメル釉薬を独自で配合していたそうで、

上品な光沢と色合いを実現させています。

 

 

 

1970年代のオアハカ市内のティアンギス photo by clare brett smith

1970年、鉄道駅跡にアバストス市場ができるまでは、

土曜のティアンギス(青空市場)はオアハカの中心街で開かれていて

現在のベニートファレス市場から11月20日市場一帯で大規模に

開催されていました。

 

ヒメネス工房のあるサラゴザ通りもティアンギスを通じて、

実際にオアハカ庶民が使う日用品として売れていくようになります。

 

1970年代のオアハカ市内のティアンギス photo by clare brett smith

 

 

その時代の底の刻銘は”Mexico” のみ。

アメリカにも輸出が始まり

国名を刻むようになったそうです。

 

60年代当時、米国の輸入品質基準は厳格だった中、ヒメネス工房は

その基準を満たしていた為、輸出用の大量生産が始まりました。

 

それから様々なスタイルの絵付け模様が生まれます。

 

単色から複数の彩色で作られるように。

ブルー、オレンジ、グリーン、小豆色、レモン色など明るい配色のものが

人気があります、

 

 

60年代になると釉薬を垂らし、アクションペインティングのような偶発的な模様に変化していきます。

この頃になるとモンテアルバン遺跡が整備され、パンアメリカンハイウェイが開通したことにより
オアハカにもアメリカから観光客がどっと押し寄せるようになりました。

 

署名もロゴのような字体に。

 

テオドラ・ブランコの土人形やマヌエル・ヒメネスの木彫り人形と同様、
オアハカの市場で売られていた工房の陶器は観光客に飛ぶように売れ、

現在でもメキシコ国内より、アメリカ人の家庭に眠っていることが多いですね。

なのでメキシコの古い民芸品全般は、

米国西部から南部にかけてのアンティークモールやフリマで取引されています。

 

テオドラ・ブランコの土人形

photo by clare brett smith

マヌエル・ヒメネスのウッドカービング

photo by dream carver from instagram

 

Photo from louisa reynoso”Alguina Ceramicas de Oaxaca Apuntes”(Antropologia y Tecnica de UNAM 1989)

 

70年代は”Chorreado”=垂らす、吹き付けるという意味の

複雑な滲み模様のものが作られていました。

 

1974年発刊のメキシコの陶芸指南書。

 

各州の陶器が紹介されるページで、オアハカの項では

“chorreado”のプレートと”artistic engraving design”としてカップとソーサーが

掲載されています。

 

 

 

現在メキシコ国内でも見つけることができるのは

80年代によく生産されていたボウル、椀型のものです。

 

メキシコはタラベラ、トナラ、グアナファトの陶器以外は

基本的に軟陶の土器ばかりの中、

このような上品で瀟洒な陶器が生産されていたことは、あまり知られていませんでしたが

最近はSNSなどで徐々に愛好家の方々が探し求めるようになりました。

 

 

現在でもヒメネス工房は同じサラゴサ通りにあり、生産を続けています。

しかし作風はかなり変化し、

モンテアルバン遺跡近くの土を使用していることをアピールした

遺跡の文様などを模倣したデザインの工芸的な作品になっています。

 

 

 

 

12月のアメリカの買い付けでたくさん入荷したのですが、

最近はインスタグラムからお問い合わせがあり売約済みになってしまうことが多いです。

 

入荷分の半分以上は売れてしまいましたが、

オススメのピッチャーセットなど、在庫ございますので

ぜひチェックしてみてくださいませ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

息子も大好きだったドリフターズ。
入院中に 「8時だよ!全員集合」 のDVDをよく一緒に見ました。

心より志村けんさんのご冥福をお祈りします。